青の楽園 用語集

 データ化とも。2010年ごろから全世界でデータ化法が施行されている。日本支部コロニーでは、小学校と中学校を卒業した、18歳から20歳までの人間が対象の義務。体、心、記憶のメニューのうち最低ひとつを選択しデータに変換することで、個体の存続・種の発展を図る。施された者の個人情報はデータベースに登録される。
体・・・怪我、病気、老化、飢餓に苦しむことがなくなる。
心・・・精神的な病、思い悩み落ち込むことがなくなる。
記憶・・・覚えること忘れることを選択できる。学習機能の補助。
 データ化済みの者は、生命活動に想像エネルギーを消費する。データ化前の生身の人間と同じく食事をすることでもエネルギーを得ることは可能。
 定期的な健診、メンテナンスの際にクラウドサービス上へ状態をバックアップすることが必要。ここから手術前へ戻るすべは必要ないとされ、研究が進んでいない。データ化する項目を追加することは可能(ひとつまでは国の補助を受けられるが、追加の場合は別途料金がかかる)。
 データに作り替えるだけであるため、脱ぎ捨てられた肉体などがよそにあるわけではない。また、完全なる不老不死の技術でもないため、損傷・劣化には弱い。復元不可能なまでに破壊された場合、その者は死に至る。
 施す医師や技師たちはいずれも医療区にあるメンテナンス部の専門の者。また、例外として、生まれつき何らかの障害や病に苦しむ者は、条件を満たしていないうちでもデータ化できることがある。データ化をしない生身の状態で成人になった者は確認され次第強制的に手術を受けさせられるため、社会に居場所はない。
 出産は申告制。子を望んだ者は担当医や医療区の施設にその旨を申し出、パートナーや医師たちと協力して両親となる者のデータを掛け合わせ、新たな命を生み出すことになる。性別問わず、希望者が産むことができる。申告しない場合、データを掛け合わせることができないため、子は生まれない。また生まれた命に親のデータ化状況などは反映されず、皆生身で生まれることになる。
 体をデータ化する際、いわゆる整形手術のようなオプションをつけることは可能だが、他者に著しく似せることはタブーとされている。犯罪防止のため。他者のデータとの類似性はメンテナンス部が管理しており、保存されているものと照らし合わせられる。
 発案にはブルー・エデン社の社長が関わっている。
#04Another part:Transformation

 データ化済みの者が生命活動のために消費するエネルギーを指す。また、データ化済みの者が生きる上で微弱に発生させているものでもある。
 収集や分配などはブルー・エデン社が行う。上層部スタッフの者たちは、夢を見て想像エネルギーを生み出すことを専門としている。
 データ化済みの人間たちを支えるほか、かつてのあらゆる電力の肩代わりもしているため、コロニーの構成もこれを使用する。宇宙ないし海の底へ移住する際に使用するエネルギーも想像エネルギーを使用する予定。
 完全に想像エネルギーのみで生きていくことは難しく、人類は他のエネルギーや物理的な道具などにまだ頼っている状態。
#05 

 データ変換手術を行っていない者を指す。18歳以下の未成年者、18~20歳のデータ化準備中の者も含まれる。基本的には成人を過ぎても生身でいられる者はいない。一般的にすべての命は親のデータ化状況を問わず生身の状態で生まれる。

 データ変換手術を済ませた者が定期的に受ける。データ化法施行とともに確立され、データ化済みの者たちが受けるよう義務づけられた。クラウドサービス上のバックアップデータと照らし合わせ、不具合があれば都度反映させるというもの。データ化及びメンテナンスを行える者はメンテナンス部の医師兼技師に限られている。メンテナンスには意識消失(ブラックアウト)を伴う。
#04 

 ブルー・エデン社の地下二階にある。
 本拠は医療区だが、所属する医師兼技師は各社・各区に散って活動している。設立した世代は既に他界しているため、現在はその意思を継いだ者たちが技術を独占している。資格をとるにはいくつもの試験に合格する必要がある。人々にデータ化を施し、その後も定期的にメンテナンスをすることが仕事。この部の者は中立とされ、ブルー・エデン社の推し進める移住先に興味がなく、決めていない者が多い。
 また、人口を管理するのもこの部とされる。二百歳の壁に到達したもの、また更生不可能と判断された犯罪者を秘密裏に処分しているという。
#04#09

 メンテナンス部の者を中心として信じられている、人類の成長と変化に関するとある説。今から90年ほど前に国内の研究者によって唱えられ、それ以来その考えに沿ってメンテナンス部は動いているが、この説は一般には中々定着しない。詳細についてはリンク先を参照。
#09Another part:HeaVeN

 社名。中央区に本社。地上300メートル、地下(水深)300メートル。地下の階は海中に潜るかたちでできており、窓からは海の様子が確認できる。階段のほかにエスカレーター、また五つほどエレベーターがある。
 地下2階から上2階までは共有施設がある。2階、資料室。1階、大フロア、玄関、催事場、社長室など。1階と地下1階とは「天使の梯子」と呼ばれる広いエスカレーターで繋がっている。地下1階は吹き抜けになっており、フーコーの振り子のある広場、カフェ、中庭なども見える。地下2階にメンテナンス部モルグ、レストラン兼バー、武器庫への地下通路。
 それぞれ3階~29階までが上層部居住フロア、30階が上層部執務フロア、31階~57階までが末端の居住フロア、58~60階が現場。
 地上での人類の活動に見切りをつけ、宇宙開発部と深海開発部に分かれて競い合い、人々にどちらへ移住するか選ばせている。社員のうち、技術職につくものはロケットや探査機などの製造に携わり、宇宙や深海の観測をしながら安定した移住のために日々を費やす。
 その一方で、上層部スタッフの者たちは、夢を見て想像エネルギーを生み出すことを専門としている。
 宇宙部も深海部も、移住の準備が終了するめどはまだ立っていないが、最終的に希望の多かったほうに人類の移住が決定する。
 設立に直接関わった者たちのうち、社長の天上天下のみが生き残っている。元は天上家に端を発する。金融機関や政界にも影響力がある。傘下にいくつかの会社やグループや研究所があり、そのひとつにデータ化を司るメンテナンス部がある。
#03

 マルチメディア展開作品。「ヘヴン」の愛称で親しまれる国民的電脳アイドル・マスコットキャラクターが主人公。200~300年ほど続いている。主人公「ヘヴン」は、性別や声や年齢、髪や肌の色、背の高さや肉付きまで自由自在に変えることができ、その姿はメディアに出るたびに変わる。老若男女に人気がある。文化区の「ヘヴンプロジェクト」が商業展開などを行う。
 その反応の生々しさから、彼もしくは彼女の自由意志が声高に噂されているが、関係者は黙秘を続けている。
Another part:HeaVeNAnother part:Report

 都市伝説の一つ。ブルー・エデン社の地下2階に確認されている。ただし内部に何が安置されているか、そしてモルグ自体の存在理由までは公表されておらず、憶測が飛び交う。管理人はメンテナンス部の代表以外の者から代々選出されている。現在の管理人は二代目。
#04#09Another part:Report

 ブルー・エデン社が示す宇宙か深海のうちどちらに移住したいかを調査するもの。年に二回から三回実施される。対象はコロニー内の人間全員(メンテナンス部に属するものは除外)。とりまとめるのはブルー・エデン社。士気を高めるために結果は毎回公表されている。混乱を避けるため、希望の移住先について一般人が議論することは普段は禁じられている。
Another part:Delete

 地域ごとに人々が密集して形成する社会。地上は荒廃しているため、危険が多く、そのために人々はコロニー内に引きこもって一生を終える。ブルー・エデン社があるのは日本支部。近い地域の支部同士で支援物資を送り合うこともある。日本支部とやりとりを多くしている海外支部は、米支部と中国支部だが、支部間で人間が移動したことはこの200年で一度もない。
 日本支部コロニーはかつての日本列島から切り出された浮島を元に形成されている。カプセルのように上も下もドーム状になっており、内部は清浄された空気や水が循環している。ただしそれも完璧ではないため、時折汚れた空気が大陸から下りてくるのを観測することも。内部は分けされている。
 コロニー外の地上は確認できる限りどこも荒れ果てており、外部で人間が生きていくことはできないとされる(300年前にデータ化などに反対した者たちの子孫が、生身のまま集落を作ってゴミを加工することで生きているが、内部との交流はない)。内部で発生したゴミはコロニー外にガラクタとして投棄することで処理されている。
#07Another part:Swan

 コロニー内にある地区のこと。中央区、医療区、工業区、一般居住区、教育区、文化区、環境保護区の七つに分かれている。区間の検疫はしっかり行われる。
中央区・・・ブルー・エデン社、皇居、国会議事堂、各省庁、銀行本社などが並ぶ。ちなみに皇室や政界の機能は形骸化し、ほとんどをブルー・エデン社に任せている。
医療区・・・人々の健康管理を担う。メンテナンス部の本拠はここにある。病院、製薬会社、データ化についての研究所もある。一般人が気軽に出入りできるのは病院のみで、検疫が最も厳しい。
工業区・・・想像エネルギーでは補えない家具や電子機器などを作っている。ブルー・エデン社で製造している有人宇宙探査機や海底探査機も、細かな部品は工業区から仕入れている。ブルー・エデン社の末端の者は工業区勤務経験者の者が多い。銃器製造もここが担当。
一般居住区・・・中央区や医療区に勤めていない多くの者がここで生活をしている。また、他の区への通勤者の居住区となっている。
教育区・・・主として未成年者を保護し、教育するための区。北と西に分かれている。幼稚園や小学校、中学校、高校、大学、公園などがある。未成年者は一日のほとんどをここで過ごす。未成年者はデータ化していない者ばかりのため、ここの検疫も厳しい。
文化区・・・人類の文化的な生活を守るための区。娯楽はこの区が管理している。ヘヴンプロジェクト、プラネタリウム、博物館、歴史資料館、巨大な図書館などがある。
環境保護区・・・人間以外の生物の保護、生態調査を行う。医療区に継いで検疫が厳しい。田畑、水族館や植物園、牧場、食品加工場、人工浜もここにある。雨水や海水の調査、飲み水の確保も行っている。

 コロニー内で流通している主な武器。データ化済みの人間には、磁力や電気が効果的(もちろん、強力なものは生身であっても十分脅威)。誰もが携帯できるわけではなく、持てる者は警備会社の者かブルー・エデン社の者に限られる。ショックを軽減するため、身体に軽減チップや防護データを埋め込む者、衣服で対策をとろうとする者も。単発型と連発型のあるワイヤー針式と、手動装填のワイヤレス式とがあるが、同形状の散弾銃の使い回しがきくために、後者のほうがよく出回る。警備会社ではいわゆる接触式、ハンディー型のスタンガンが採用されている。
#04#05

 300年前、2010年頃にデータ変換手術と平行して別所にて研究されていた技術。一説には、ゲノム編集を応用した、投薬により人類へ不老不死をもたらす奇跡の技術だといわれている。詳細は一般には周知されておらず、謎に包まれている。この呼び名も通称であり正式名称は不明である。
 近年、この技術の再研究が医療区で行われたとの噂もあるが、真偽のほど、またその研究がどうなったのかも杳として知られていない。リンク先を参照のこと。
#09マグネシウムリボン空想の街:とある冬の一日① ’20