2017.12//
今日はまだ見つかっていないからどうか三三九度まで済ませていって
死にたいと死にたくないを輪唱し我々まるで炭酸水だ





2017.11//
フロートソーダ、沈む白 最期まであなたはどうか笑顔でいてね





2017.10//
走馬灯作ろうとして振り向けばあなたばかりですこし泣いてる





2017.09//
空ならば夜明けの前がいつよりも暗いと言ったきみ抜きの朝
五丁目のアパートに住む太陽にとうとう振られ俯く向日葵





2017.08//
五年ほどおんなじ花を好きでいるなんて名前か聞かないままで
懐かしい会話がほしいつらいとき一目散に逃げられるよう
ふくらんだゆめにやさしくされた日に限ってひまわり畑は嘘つき
ちらばったぼくを集めたきみ永久にこの世でいちばん盲目でいて
あんたは誰だ 当然のような顔のまま隣に座られると皮膚がしぬ
終焉を祈るカクテルグラスにて宇宙もぼくもあなたも泣いた
言われるがままに目を閉じ天気予報きっと明日はやさしい雨だ






2017.06//
あかい帯、ご覧、此れは清らかなせゝらぎの胎に繋ぐ臍の緒 #桜桃忌
なかったことにされるさいごのひにふたり重ねていっしょにつぐむくちびる





2017.03//
こんなにも言葉が刃物であるきみの生まれは恐らく季節のあわい
うっかりとひとをころした朝のこと曇り硝子がまっしろだった





2017.02//
赤信号それが救いだと言う君を #つかまえられずただ見つめてる
LEDライトがうらがなしいわけは雪明かりで出来たものだからだ





2016.11//
冬物のふとんにのった練り切りは猫と呼ばれるいきものらしい
おひさまとおんなじ色の目玉焼きとてもすなおになれそうな朝
ざあと降ってくれやしないかあめの火よ、あのひとの愛づる万象ともしく





2016.08//
成人が済んだらおまえを埋めてやる土が浮くまで見届けてやる





2016.06//
前向きに死ぬまでのことを考えてたまごは毎日食べると決める
たとえば絵を燃すため割られた薪のようにつみあげられた皿がぼくらだ
風船をぶちまける 空が怒らないことにいつまで経っても慣れない
きよらか、がにあう琺瑯いっぱいのみなもにくちづけるおごそかに
プリンよりコーヒーゼリーが好きなのは前世でぼくがきみだったから
鉢植えの栄養材をむしりとる悲鳴は聞こえなかったそぶりで
来世ならあなたの庭の物干しにかけられてもいい さあ、せんたくを





2016.03//
一生に一度とわらい髪をきるきみよ私の脳髄であれ
逃げるという響きが悪い、ぼくたちは深く呼吸をしているだけだ
この銃じゃしねない君がさっきまで持っていたから弾がぬくくて





2016.02//
勝手にも四季が土葬にする雪の手向けを春に任せてしまう
あの服は脱がされるためこの皮膚は剥がされるため纏ったものか
つのならばひつじにあげたきりなのでとりあえずまだにんげんでいる