この病院には食堂ならぬ『飾堂』がある。
 面会終了時刻ぎりぎりにエレベーターがとまる階には派手な看板とマットレス。明日退院するのだけれど、僕の病気も何かの飾りになるのかな。真っ暗な店の奥にそう問いかければ、「治ろうが治らなかろうが、ここでの経験はきっとお前の人生を良いように飾ってくれるさ」と声だけが返ってきた。不治も怖いけど、いざ治っても学校に戻るのが不安で混乱していた僕を見抜いたような言葉だ。
 信じようと思う。そして、同じように悩んでいるひとに出会ったら教えよう。食堂ならぬ『飾堂』のある、大きなこの病院を。








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『装飾人生』  一次  お題「飾る」
 17/03/04 #Twitter300字SS企画さん参加作品。
 改行空白無視で254字。